宝塚花組東京公演「はいからさんが通る」感想1:柚香光さんの少尉ほか

数年振りの投稿。

相変わらず、ぼちぼち劇場や映像、このところはネット配信での観劇も続けています。

久々な上に今更ではありますが、今日は、最近、劇場で観た「はいからさんが通る」の主観的感想を。

原作の漫画は昔から大好きな作品です。

ストーリーは勿論、読み始めたら止まらないほど面白いのですが、個人的には大和和紀さんのユーモアセンスもツボで。其処此処に挟まれている小ネタにいちいちジワジワくるんですよね。

Ex)少尉の上司の大河内中将閣下の「アヤヤオヨヨ」etc.

今回はスミレコードのある宝塚での公演のためか、羽目を外し過ぎたネタこそないものの、冗談社の社員の名前(古美売太、辺面岩男、愛想良男!)や、標語ポスター等、ギリギリラインで大和さんテイストが盛り込まれているその心意気が嬉しかったです。

キャストで印象に残ったのは、やはり何と言っても伊集院忍(少尉)役の柚香光さん。

原作では、少女漫画の典型的2枚目のヴィジュアルで描かれている役なので、さすがに再現は難しいだろうと思いきや、プロローグの軍服姿から驚くばかりの本物感!正に少尉そのもの。漫画が原作の舞台作品において、見た目の再現度は最重要ポイントの1つだと思うのですが、柚香さんが少尉を演じられたことで、漫画のイメージのまま、違和感なく作品の世界観に没入することができました。

しかし、一方で、宝塚版では、伊集院忍という人物が、漫画よりもより深く繊細に描写されている印象が。正統派2枚目の部分のみに留まらず、紅緒には勿論のこと、伊集院家の人々や鬼島、吉次を始め、周囲の人間に対する彼の掛け値のない優しさと、それは、彼が歩んできた人生の中で築かれた意思ゆえのものであるところまで感じ取ることができたように思います。

そして、そうしたバックグラウンドまで感じることができたのは、柚香さんの芝居の深さからくるところも大きいと感じました。

個人的には、柚香さんというと、誇張されたわかりやすい表現というよりは、作品の世界観に馴染み、知らず知らずの内に観る者を納得させてしまう演技をされる印象があり、だからこそ、作品ごとに、想像を超える、それでいてとても的確な角度から切り込んだ役作りを見せて下さるので、一観客として、そういう部分も毎回楽しませていただいています。

そのヴィジュアルがクローズアップされる分、ショースターのイメージが一般的なのかもしれませんし、事実、とても美しい方だとは思うのですが、なぜか私にとっては役者さん的な印象も強いんですよね。

今回も、少尉が紅緒に語りかける表情や佇まいから、役作りの深さが滲み出ていて、誇張された表現ではないからこそのリアリティーに、ホロッとさせられました。

長くなってしまったので、また改めて、書ききれなかった色々をアップさせていただくかも!?しれません。

(感想千穐楽配信