TMP音楽祭、TCAスペシャル、宝塚スペシャル(スカステ):麻実れいさん、大浦みずきさんほか

今年はコロナ禍で、宝塚の組を超えた祭典、タカラヅカスペシャルがなくなり、寂しさもありますが、スカイステージでは連日、タカスペの前身(コンセプトはあまり変わりませんが)のTMP音楽祭やTCAスペシャルが放送されていて、楽しませていただいています。

昔のスターさんは皆さん個性が強く、存在が濃いですね。登場されるだけで場面がその方の色で染まるあの感じに、昔の宝塚ならではの香りを感じます。

特に麻実れいさんのおおらかな存在感には圧倒されました。敢えて特別なことをされなくても、そこに立たれただけで場を埋められるあのオーラは天性のものなのでしょうか。
退団後はさらに演技に磨きをかけられ、いまや女優さんとしても唯一無二の存在として輝かれていて素晴らしい限りですが、TMP音楽祭の映像から、改めてその原点となる輝きをみせていただいたような気がしました。

それから、個人的にとても印象に残っているのは、やはり大浦みずきさんです。特に、’87年『ラ・シャンソン』での「Padam Padam」、’89年『ザッツ・ムービー!Ⅱ』での「Say You, Say Me」は一聴の価値あり!と言いたくなる名ソロだと感じました。

敢えてドライにさらっと流すフレーズと、粘って盛り上げるフレーズの歌い分けのセンス。発音の良さ。そして、一声発せられただけで漂う、切なく深い大人の香りがたまりません。

大浦さんといえば、宝塚きってのダンサーさんですが、実は最高に素晴らしい歌い手さんでもいらっしゃるんですよね。
以前からそのような認識はあったのですが、今回の放送で改めて実感。まずは映像に残っていることが嬉しいです。その男役さんらしい佇まいと、ダンスはもちろんですが、歌の素晴らしさも含めて、スペシャルなスターさんとして今後も語り継がれていきますように!

また、2~3番手の頃の杜けあきさん、涼風真世さん、一路真輝さんのフレッシュさも印象に心に残りました。皆さん、お美しく、男役さん独特のチャーミングさに溢れていて魅力的!

円熟味のある男役さんのパフォーマンスに酔いしれた後に、トリオなどで爽やかな風を起こす男役さん方にパワーをいただく流れは、実は最近のタカラヅカスペシャルにも受け継がれている醍醐味かもしれませんね。

そして、タカラヅカスペシャルというと、いつからかバンドの皆様がステージ上で演奏される形がスタンダードとなっていますが、昔(特にTMP音楽祭時代)はオケボックスで演奏されている回もあったのですよね。他にも、トップスターさんが紙製(?)の幕を突き破って登場されたり、ソロを歌い終えた方々も舞台上に残り、歌っている方々を見つめながらポーズをとって待機される場面があったり、未沙のえるさんが司会進行的な役割で客席をあたためられていたりと、随所に見られる趣向を凝らした演出も楽しみながら見ていました。

そういえば、来月には2019年のタカラヅカスペシャルも初放送されるそうで、今からとても楽しみです。(個人的に、今の男役トップスターさんの並びが大好きなんですよね。)

来年こそはタカラヅカスペシャルが無事上演されますように。

宝塚雪組「華麗なるギャツビー」の思い出。

「グレート・ギャツビー」が、宝塚に続いて、東宝と梅田芸術劇場(で合ってるかしら!?)でミュージカル化されましたね。

それで思い出したのが、宝塚初演の雪組の「華麗なるギャツビー」。残念ながら、月組公演は観そびれてしまったので、雪組公演の思い出を書きたいと思います。

雪組公演は、当時、ミュージカル評論家からも高評価の話題作だった記憶があります。
杜けあきさんのギャツビー、鮎ゆうきさんのデイジー、一路真輝さんのニック、海峡ひろきさんのトム、美月亜優さんのマートル、早乙女幸さんのジョーダン、古代みず希さんのジョージ・・・思い返せば、主なキャストが皆さん、はまり役でした!フィッツジェラルドの原作がもと=あてがきではないのに、凄いことですよね。

中でも、やはり杜さんのギャツビーの影、包容力、大人の男の存在感は秀逸でした!宝塚版の主題歌ともいえる「朝日の昇る前に」を歌う前、海を見つめる後ろ姿に、男役は、後ろ姿でも魅せるものなんだなと感じたことを覚えています。

そして、鮎さんのデイジーも高貴な美しさがあり、素晴らしかったです。人妻であるだけではなく、その美貌ゆえに手が届かない存在として映る鮎さんの気高いデイジーが、杜さんのギャツビーをより際立たせたといっても過言ではない気がします。

そして、清潔感があり、とにかく美しいのに親しみやすく、憎めない一路真輝さんのニック。ゴルフ場でミスショットを連発する姿や、ジョーダンと恋の心構えを歌う「愛のファイナル・ショット」でのコミカルな演技など、陽性な雰囲気でギャツビーと好対照をなしていました。

他にも、当時、若手だった香寿たつきさんが、朱未知留さんと歌われた「レクエルド」の色気のある歌声など、観劇の思い出を挙げればきりがありません。

今回の「グレート・ギャツビー」は、宝塚と同じ小池修一郎さん脚本・演出ですが、作曲はブロードウェイでもご活躍のリチャード・オベラッカーさんとのこと。井上芳雄さんをはじめとするキャスティングも含め、また新たな、魅力的なギャツビーワールドが展開されていることでしょう。
私は残念ながら観劇予定がないのですが、作品の益々の発展を祈ります!