宝塚雪組「Shall we ダンス?」(スカステ鑑賞)

昨夜、スカイステージで宝塚雪組の「Shall we ダンス?」(2014年東京)を鑑賞。
原作がしっかりしているせいか、とても楽しめました!

原作は日本人らしい人間味のある身近なキャラクター設定が魅力でしたが、宝塚では、舞台をイギリスに移し、生活感をやや薄め、スマートさを加味した印象でした。宝塚ではそれ位の方が違和感がないのかも!?

たとえば、壮一帆さん演じるヘイリー役が妻子のあるサラリーマンであったりと、ある意味宝塚らしくない設定に関しても、変に所帯じみることなく、壮さんのもつ誠実な雰囲気が活かされているように思いました。

脚本・演出は、後の雪組で「ルパン三世」も担当された小柳奈穂子さん。
この頃から、名作を宝塚向けにアレンジするのがお上手だったんですね。

というわけで、ヘイリーの壮さんは、家庭をもつ男性の落ち着きに加えて、ラストシーンのエマのダンス相手として引けを取らないだけのスマートな格好良さがあって、映画版と宝塚版の良さを上手く取り入れた素敵な役作りでした。

そして、早霧せいなさんは、男役さんだとわからない位の華奢な身体のライン、女性らしい声で、ダンス教室の華であることが納得できるエラでした。この公演では、しっとりとしたエラ役と、ショーでの爽やかな男役のギャップも堪能できて、ファンの方にとってもお得だったのでは!?と今更ながら思ってしまった私です。

そして、愛加あゆさんのジョセリンも、主婦らしい可愛らしさと朗らかさ、ナチュラルな演技が印象的で、改めて芝居巧者だなぁと思わせられました。
そういえば、ラストシーンのヘイリーが、序盤でエラと組んだ後、後半はほぼジョセリンと踊っていたのは、トップコンビのデュエットダンスへの観客の期待感を意識してのことなのでしょうか。ヘイリーとエラがあやしい関係ではないことを踏まえても、微笑ましい演出だと感じました。

その他では、大湖せしるさんの強烈な弾けっぷりや、夢乃聖夏さんのコミカルな身のこなしも楽しかったです!

そういえば、今、大劇場で上演中の雪組「幕末太陽伝」も小柳さんの脚本・演出ですね。何とかチケットをゲットして観たいものですが、どうなることやら。

「ベルサイユのばら」で一番好きな曲:愛の柩

今日は、宝塚の「ベルサイユのばら」で私が一番好きな曲について書きたいと思います。

「ベルばら」といえば、「愛 それは 甘く・・・」という歌詞が印象的な“愛あればこそ”、アンドレが歌う“心の人オスカル”、フェルゼンがアントワネットを思って歌う“愛の面影”などが有名ですよね。

これらも確かに良い曲ですが、実は私が一番好きな曲は、フェルゼン(フェルゼン役のスターさん!?)がフィナーレで歌う「愛の柩」という曲なのです。愛する人がこの世を去った辛さを歌った曲なので、タイトルや歌詞は救いがないのですが、それに対して曲のアレンジは爽やかでアップテンポなところが特徴といえるでしょうか。

「ベルばら」という大作の観劇にあたっては、観客も集中力を使うので、多少の疲労感を覚えがち。
そんなとき、フィナーレでこの曲を聴くと、本編で感じた切なさはそのままに、新鮮な風が心を吹き抜けるような清涼感を覚えるのです。逆に言えば、メロディーが重くないからこそ、歌詞の切なさが際立ち、胸が痛くなるというか。

そして、私にとって「愛の柩」といえば、平成初の雪組の「ベルばら」にて、特別出演でフェルゼン役を演じた紫苑ゆうさんの印象が強いです。実は不覚にも、当時、生で観たフェルゼンがどなただったかの記憶が曖昧で・・・。

紫苑さんは、映像で何度も観ていたのですが、宮廷服が似合うスタイルといい品格といい、正に貴公子でした。そして、このときのアントワネットは仁科有理さん。「愛の柩」でも、同期生のお二人による息ピッタリのデュエットダンスがありました♪

ところで、私、最近まで、この曲は宝塚のオリジナルだと思っていたのですが、スカステのステージノートの再放送で、壮一帆さんが、シャンソンが原曲と仰っているのを聞き、驚きました!噂によれば、原曲名は「Rusty Bells」だとか。爽やかなアレンジは宝塚版ならではかもしれませんが、切なさの合うあの旋律がフランス生まれだったとは。フランスが舞台の作品と考えると、粋な選曲ですね。

因みに、一番最近、生で観た壮さんのフェルゼンも、爽やかさ、情熱、安定した実力で、本編も「愛の柩」も素敵でした!